2026年10月12日

コスパ最強の万能素材・アルミ複合板ー厚み・サイズの選び方と、看板・パネルを作るときの注意点


コスパ最強の万能素材として、看板やパネルによく使われるのがアルミ複合板です。現場ではアルポリとも呼ばれます。軽い、雨に出せる、切って貼れる。看板も、案内サインも、展示パネルも、厚みとシートを変えれば同じ板でこなせます。

どの厚みにするか、定尺とm板のどちらから切るか、1枚の板より大きい画面をどう分けるかは、注文の直前まで決まりにくいものです。ここを先に決めると、捨てる板も、作り直しも減ります。

この記事では、選ばれる理由と呼び方、厚みとサイズ、費用の考え方、主な用途と仕上げ、大判で作るときの注意を順に整理します。最後に、出力工房でアルミ複合板パネルを作る場合の仕様をまとめています。

アルミ複合板が、看板にもパネルにも選ばれる理由

3層の構造

アルミ複合板は、薄いアルミ板2枚のあいだに、樹脂の芯材を挟んだ板です。芯材には、主に発泡ポリエチレンが使われます。正式名称はアルミ樹脂複合板です。

金属の一枚板にすると重く、加工の手間も増えます。樹脂だけの板にすると、屋外の掲示には心もとないことがあります。表面が金属で中が樹脂のこの構造は、その中間を一枚で取れます。軽いのに屋外に出せて、切断もしやすい。看板や案内板で見かける白い板の多くが、このつくりです。

「アルポリ」と「アルポリック」

アルポリックは、三菱ケミカルインフラテックの製品名です。1970年代から続く、国内の代表的なアルミ樹脂複合板です。

この名前が広く使われたため、業界ではアルミ複合板全般をアルポリと呼ぶことがあります。会話の中のアルポリが、その製品だけを指しているとは限りません。

他社の製品もあります。アルインコ、住友ベークライトのデラニウム、積水樹脂などが知られています。見積もりや発注では、製品名と一般名を分けて伝えた方が、板の取り違えが減ります。この記事の説明は、一般名のアルミ複合板で進めます。

守備範囲が広い。向かない使い方もある

看板やパネルに繰り返し選ばれるのは、次の性質が一つの板にそろっているからです。

  • 軽い
  • 水や天候に強い
  • 温度変化でゆがみにくい
  • 切断などの加工がしやすい
  • 強い衝撃を受けても、割れる前に曲がる

屋外のプレート看板から、会期だけの展示パネルまで、板を替えずに済むのが万能素材と呼ばれる理由です。

万能でも、苦手はあります。

  • 強くぶつけると凹む。へこみは元に戻りません
  • 透明ではない。光を通す板としては使えません
  • 磁石は付きません

磁石で紙や小物を留めたい掲示には、スチール複合板を検討します。光を通す面や、人が強く当たる場所は、別の材料と合わせた方がきれいに収まります。

厚みとサイズ

厚みの目安

市場に出ている厚みは、1mm、2mm、3mm、4mm、5mmなどです。すべての厚みをすべてのメーカーが出しているわけではありません。

看板やパネルでまず考えるのは3mmです。軽さと、手で持ったときのしっかり感が両立し、多くの掲示で過不足が少ない厚みです。壁面のプレート看板、案内サイン、展示用パネルの多くがこれです。迷ったら3mm、で足りる仕事がほとんどです。

5mmは、自立させたいときや、見た目に重厚感を出したいときに足します。1mmや2mmは、軽さを優先する屋内向けです。人が触れる位置や、屋外で風を受ける面には、薄すぎる板は避けた方が無難です。薄すぎる板で済ませても、たわみや破損で作り直すと、結果として高くつきます。

定尺とm板

板の寸法は、定尺とm板に分かれます。定尺は尺を基準にした寸法、m板は1,000mmを基準にしたメートル寸法です。建物側が尺モジュールかメーターモジュールかで、どちらから切ると余りが少ないかが変わります。よく見かけるサイズは次のとおりです。

区分 呼び方の例 サイズ(mm)
定尺 3×6(サブロク) 910×1,820
1,220×1,820
4×8(シハチ) 1,220×2,440
1,220×3,000
m板 1×2 1,000×2,000
1,000×3,000

3×6は尺貫法の3尺×6尺、4×8は4フィート×8フィートに由来する呼び方です。m板の1,000×2,000mmは、1m×2mです。発注時に使うのは、呼び方ではなくミリの寸法です。

上の表は、市場で見かける寸法の例です。ラインナップはメーカーと製品で違います。使う板が決まったら、その製品の定尺とm板を確認してください。

サイズの選び方

先に決めるのは、仕上がりサイズです。その寸法が収まり、余白が小さい定尺かm板を選ぶと、捨てる板が減ります。材料費の差は、このロスで出ることがあります。

たとえば仕上がりが900×1,800mmなら、910×1,820mmの定尺(3×6)から切り出せます。m板の1,000×2,000mmでも切れますが、捨てる部分が増えます。仕上がりが1,000mm前後なら、逆にm板の方が余りは少なくなります。複数枚を同じ板から取る場合も、定尺とm板のどちらに割り付けるかを先に考えると同じです。

仕上がりが、使う板の長辺を超える場合は、1枚では作れません。そのときの分け方は、後の「大判で作るときの注意」で説明します。

費用の考え方

何で金額が変わるか

アルミ複合板そのものは、看板やパネルの板として費用を抑えやすい材料です。ただし、パネルとしての金額は板代だけでは決まりません。主に次の要素が重なります。

  • 板代。取る定尺やm板、仕上がりサイズで変わります
  • 出力
  • シートを板に貼る加工
  • 指定サイズへのカット
  • 送料と梱包

サイズが大きくなると、板代に加えて送料と梱包費もかかりやすくなります。長い板は、通常の段ボールに入らず、専用の梱包になるためです。

材料だけの価格や、他社の料金は、この記事では扱いません。厚み、サイズ、屋外か屋内か、貼り方が決まってから、依頼先の見積もりで確認してください。

材料を買って自分で作る場合

板と印刷済みのシートを別々にそろえ、自分で貼ってカットする方法です。枚数が少なく、サイズが手で扱える範囲なら、加工賃を抑えられます。作業の手順自体は多くありません。

サイズが大きくなるほど、貼る作業は難しくなります。気泡、シワ、絵柄のズレが出やすく、一度貼ったシートをきれいに剥がせるとは限りません。屋外用のシートは糊が強く、失敗したときのやり直しが効きにくいものもあります。材料費で浮いた分が、シートの買い直しで消えることがあります。

カットも、小さい直線なら手工具で足ります。寸法の精度や、小口の見た目まで求めると、作業場所と道具が必要になります。

印刷から貼りまで頼む場合

出力、貼り、カットまでを一か所にまとめて頼む方法です。屋外で使う年数に合わせて、シートを選べます。貼りの失敗や、カット寸法のずれを、自分で引き受ける必要はありません。枚数が少ない小さい板は自作、大きい板や屋外の長期掲示は依頼、と分けると、総額は読みやすくなります。

出力工房のアルミ複合板パネルは、標準仕様であればWebの見積もりで金額を確認できます。定尺を超えるサイズや、このあと説明する巻き込み仕様は、自動見積もりの対象外になることがあります。その場合は、サイズと用途を書いて問い合わせてください。

主な用途と仕上げ

看板

屋外のプレート看板、施設の案内サイン、工事現場の掲示板などに使われます。水や天候に強く、温度変化でゆがみにくいので、長期間つけたままにする掲示に向いています。

壁や柱に固定する看板なら、3mmで足りる場合が多いです。地面に立てて風を受ける看板は、板の厚みだけでなく、枠や支柱と合わせて考えます。

パネル

展示会やイベントのパネル、店内の掲示、記念撮影用の背景にも使われます。会期中だけ屋内に置くパネルなら、より軽い板を選ぶこともあります。屋外と屋内を移動する掲示や、会期後も保管して再利用するパネルには、アルミ複合板が選ばれやすいです。同じ板で、短期の展示と長期の看板をこなせるのが、この材料の強みです。

絵柄の付け方

板に絵柄を付ける方法は、大きく2つあります。板の表面に直接印刷する方法と、別の機械で出力したシートを貼る方法です。

出力工房は、シートを貼る方法です。アルミ複合板に使うシートは次の2種類です。

  • 塩ビの屋外中期用。耐候の目安は約3年。糊は再剥離タイプで、剥がす作業を短くしやすい
  • 塩ビの屋外長期用。耐候の目安は約5年。糊は強粘着タイプで、長期間の掲示で剥がれにくい

印刷面を保護するラミネートも、中期と長期から選べます。

シートはどちらも裏面がグレーで、下地の色や模様が透けにくくなっています。耐候年数は目安です。日当たり、雨、貼る下地によって、実際に使える期間は変わります。

数か月から2、3年の屋外掲示なら中期用で足ります。数年間つけたままにする看板だけ、長期用に上げます。耐候を必要以上に長く買わないのも、費用を抑える選び方です。

小口まで回す巻き込み仕様

通常の貼りでは、シートは板の表面に乗り、側面の小口にはアルミと芯材が見えます。アルミ複合板の縁は鋭利なため、小口がむき出しだと指を切ってしまう可能性があります。

巻き込み仕様は、印刷したシートを小口まで回して貼る仕上げです。側面に芯材が出ず、鋭利な縁もシートで覆われます。近くで見るパネルや、縁まで絵柄を見せたいときに使われます。屋内の展示品や、小口の保護にも使われます。

出力工房では、巻き込みは特注です。標準の見積もりには入っていません。仕上がりサイズ、屋外か屋内か、どの面まで巻き込むかを伝えて相談してください。

大判で作るときの注意

定尺を超えると継ぎ目が出る

1枚の板には最大の寸法があります。それを超える画面は、複数枚を並べて1つの絵にします。枚と枚の境界が継ぎ目です。継ぎ目をゼロにはできません。

問題になりやすいのは、継ぎ目の位置です。顔や文字の中央で板が分かれると、少しのズレでも読みにくく、写真は不自然に見えます。分割位置は、デザインを描き始める前に決めておきます。

継ぎ目をどこに置くか

継ぎ目は、背景や余白、絵柄の区切りに置きます。ロゴ、人物の顔、細い文字の列は避けます。正面から見たときに、線が絵の一部のように見えれば、継ぎ目は目立ちにくくなります。

何枚に分けるか、縦に割るか横に割るかは、使っている定尺と、現場に持ち込める大きさの両方で決まります。データの作成前に、依頼先と分割位置を合わせてください。出力工房に頼む場合も、標準サイズを超えるパネルは特注の相談になります。

運搬と設置

大きい板は、作れても建物に入らないことがあります。トラックの荷台、搬入口、エレベーター、階段の曲がり角を、板の対角線の長さで確認します。

分割すると継ぎ目は増えます。その代わり、1枚は小さくなり、運びやすく、壁への固定もしやすくなります。搬入口が狭い会場では、継ぎ目を許容して分割する判断もあります。運ぶために作り直すより、先に分割した方が費用も日程も読みやすいです。

出力工房でアルミ複合板パネルを作る場合

出力工房の標準仕様は、次のとおりです。多くの看板とパネルは、この範囲で足ります。

  • 板は、白色のアルミ複合板3mm
  • シートは、塩ビの屋外中期(約3年・再剥離糊)か、屋外長期(約5年・強粘着糊)。裏面はグレー
  • ラミネートは、中期と長期から選べます
  • 標準の最大サイズは、910×1,820mm(3×6)

910×1,820mmを超えるサイズは、特注で対応しています。1,220×2,440mmの製作実績があります。巻き込み仕様も、特注として相談できます。

色味や小さい文字の見え方は、入稿データをA4サイズで出力したサンプルで確認できます。画面上の色と、実機で出した色は違って見えることがあるためです。

厚み、サイズ、シートが標準の範囲に収まる場合は、Web見積もりで金額を確認してください。定尺を超えるサイズや巻き込み仕様は、お問い合わせで仕上がりサイズと用途を伝えてください。板やシートの一覧は、パネル加工のページにまとまっています。

まとめ

アルミ複合板が看板にもパネルにも使われるのは、軽さ、屋外への強さ、加工のしやすさが一枚にそろっているからです。用途ごとに板を買い分けなくても、厚みとシートで調整できます。アルポリという呼び方で注文することもありますが、製品名と一般名は分けて伝えた方が確実です。

厚みは3mmを基本にします。自立や重厚感が必要なら5mm、屋内で軽さを優先するなら1mmや2mmです。費用を抑えるなら、仕上がり寸法から逆算し、余りが少ない定尺かm板を選びます。

定尺を超える大判は、継ぎ目の位置をデザインの前に決めます。巻き込みは、小口の芯材を隠し、鋭利な縁をシートで覆う仕上げです。表面だけ貼る仕様とは別です。板の守備範囲は広いので、この二つだけ先に依頼先へ相談しておくと、仕上がりと費用の両方が読みやすくなります。

この記事を書いた人

東洋アドバンス 出力工房 編集部

東洋アドバンス
出力工房 編集部

東洋アドバンス株式会社が運営する「出力工房」編集部です。出力工房では、大判出力・パネル加工・ラミネート加工・看板制作など、店舗や企業の販促物制作をワンストップで対応しています。当ブログでは、印刷・加工に関する基礎知識をはじめ、素材の選び方、データ作成時のポイント、販促物の活用事例など、実務に役立つ情報を発信しています。初めて大型出力や販促物制作をご検討される方にも安心してご相談いただけるよう、専門用語をできるだけ分かりやすくお伝えしています。